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bootlegbooth|恵比寿系の先駆け!古豪ブランド、ブートレグブース

《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック )
瀬戸

これなんですけど、bootlegbooth(ブートレグブース)のスウェットが出てきたんですよね。タグを見る限りこれは時期的には90年代末期から00年代初頭くらいかと思います。ストリートではちょうど「恵比寿系」っていうカテゴリーが形成されはじめた頃のものかと

遠山

ちなみに万代 仙台南店の平場(ストリートコーナーでない一般古着コーナー)から見つけた。やっぱり平場は侮れないんだよなぁ。探すのは大変だけど、掘る価値はあるね

野田

ブートレグブースって出てきたのはこれが初めてじゃないよね?

瀬戸

はい。何度かはありますが、タグを見る限り《あんとき》じゃない後期のものでしたね

野田

確かにこういうシンプルでオーバーサイズなのは当時のデザインって感じがするね。ブランド自体は恵比寿系というよりはもっと早い時期、というかストリートブランドの中でもかなり老舗の部類に入るもんね

瀬戸

調べたところによると、ブランドのスタートは94年だそうです。デザイナーは大谷光さんという方で、最初は原宿のビリオンダラーっていうとこの一角で、インポートなんかのセレクトアイテムを置くお店のオリジナルだったようです

遠山

へ?!ビリオンダラーっていったらその昔、超おっかないロカビリー兄貴たちが集うことで有名な魔窟じゃん!

瀬戸

それで96年にbootlegbooth単体としてのお店になるそうです。これが原宿のとんちゃん通りにあった小さいお店だと思います。はじめはオーセンティック、エクスプローラー、スローって3つのブランドに分かれてたんですよね

遠山

あったね。( ユナイテッド ) アローズに向かって左側の路面店だよね

瀬戸

そうですそうです!

それで、僕なんかもまさにそうですけど、当時からバンド系のフォロワーに人気があった印象です。スタイルとしてはオーバーサイズのカジュアルウェアなんですけど、ありものボディにプリントってだけじゃなくて、作り込んだオリジナルアイテムが結構あったのが特徴でした。この頃はまだオーバーサイズの服を着るならインポートや軍ものがメインだったんですけど、その中でドメスのストリートブランドっていうのが珍しくて。

メロコアとかのバンド系のフォロワーって、ラルフやNAUTICA ( ノーティカ ) やGAP ( ギャップ ) って、Bボーイのものっていう勝手にイメージしていて抵抗あったと思うんですよね。だからそういう層にブートレグブースは受けていたんだと思います。実際にライブハウスに行ってもオシャレだなぁと思う人はブートレグを着てる人が多かったです。お!メルカリ調べてたら、当時モノのエクスプローラーの商品がありました!


画像引用:メルカリ

野田

キャットストリートの脇にもお店あったよね?

瀬戸

お店が移転するんですね。97年に3ブランドあったのを「ブートレグブース」の1ブランドに統合しているんですが、その後の99年か00年くらいに移転してたと思います。ちょうど MACKDADDY ( マックダディ― ) のHEIGT ( ハイト ) が恵比寿にできたのと同じころだったんじゃないかと。

今回見つかったスウェットもこの時期なんじゃないかな。この頃になると、オーバーサイズのパーカーやナイロンアウターみたいな、かなり恵比寿系なスタイルになっています


画像引用:メルカリ


画像引用:メルカリ

遠山

おー、半袖のナイロンシャツとか時代感じるねぇ (笑)

野田

ほんとですね (笑)。あとこの頃、お店にいた女子スタッフがカワイイって有名だったよね

瀬戸

そうなんですよ。しかも、それって当時の恵比寿系に分類されるブランドの特徴なんです。どこも女の子のスタッフがいて、レディースラインがあるブランドも多くて。ここもそうですし、DEVILOCK ( デビロック )、マックダディーはじめ、色んなブランドがレディースに手を広げてましたね

高柳

確かにサムライとかで女の子スタッフ特集とかやってて、ここのスタッフの子もいつも出てた印象あるなぁ

遠山

その層が増殖したからこそ、オーリーガールズができたんだろうしね。でも、その後は雑誌に関してはオーリーやワープとかってよりもサムライを中心に露出していたような

瀬戸

サムライが台頭してきてからは、そうですね。お店の場所は原宿にありましたが、この時期からはかなり恵比寿系ブランドに近い認知のされ方になっていました。サムライはブランドのデザイナーを人立てでフォーカスする企画も多かったので、そこでブートレグブースだけでなく大谷さん個人が露出する機会も増えたと思います。

デビロックやAGやマックダディ―などの元々バンドをやっていた人のブランドって、最初から人が前に出ていたんですが、ブートレグブースの大谷さんとGARNI ( ガルニ ) の古谷さんなどのデザイナーの人物像はサムライで知るようになりました

遠山

確かに当時からオーリーがアーティストやスケーターのキャラクターの先にあるファッションを見てたけど、サムライはその逆で、ブランドを掘る過程で人を紹介するっていうアプローチだったもんね

野田

カズさん ( =KAZZROCK ) がモデルとかで昔から出てましたよね。恵比寿のイメージもあるけど、初期はカズさんのイメージなんだよなぁ

遠山

そうそう!俺もそのイメージがある

高柳

ちなみに恵比寿系後期の時期はどうなっていくの?

瀬戸

その後はXESCAPE(ぜスケープ)っていう、ブートレグブースより少し大人っぽい別ラインが出ましたね。それが02年とか03年くらいかと思います。こんな感じです


画像引用:サムライ

野田

魚眼の写真っていうのも時代感じさせるよなぁ (笑)。ブランドは今はないの?

瀬戸

はい、恵比寿系の終息後はちょっとずつアメカジっぽいスタイルに移行していって、ブランド自体は11年に一度活動が終了しているみたいですね。その後、大谷さんはnomad(ノマド)っていうバッグのブランドを立ち上げて現在も続けているようです。

あとはしばらくVector(ベクター)というお店もやっていたようで、そこではノマドの他にもマックダディーやMOBSTYLES ( モブスタイル ) なども扱っていたようです。

最近のニュースとしては18年にブートレグブースが復活して展示会をやったみたいです

野田

20年近くやってたんだね

瀬戸

1994年って言ったら、95年にオープンしたBOUNTY HUNTER(バウンティーハンター)よりも古いってことですもんね。さらにその時期から裏原にお店があったのに裏原ブランドと絡む気配が全然ないんですよね。

初期にカズロックさんとのコラボもあったりとか、ヒップホップっぽい系譜なのかと思ってたらどうやらそうでもなさそうで


画像引用:メルカリ

野田

ブートレグブースっていい名前だよなぁ。やっぱりピークはメロコアブームの頃なのかね

瀬戸

だと思います。97年あたりのメロコア/パンクブームの頃にはきちんとブランドとしてもお店としてもすでにあって。前述のとおり服もカッコよかったので、個人的にもこの頃、よくここで服を買ってました

野田

買ってたのに詳しい出自知らんのかい (笑)

瀬戸

すいません (笑)。でも、その直後にデビロックやマックダディ―やAGなどのブランドが出てきて、初期は仲間内のバンドマンが着用することで認知されていったけど、その中にもブートレグブースは入っていないんですよね。そんな感じなので雑誌とかに出ないポリシーなのかと思ってたくらいです。その後、サムライが出てきて雑誌でよく見かけるようになりましたけど

高柳

サムライに出だして以降は結構たくさん出てたよね

瀬戸

はい、そこから急に露出するようになりました。それこそデビロックの記事でも紹介したサムライのグランドマスターって企画でも大谷さんの名前で出てますし

野田

案外、人気のピークは露出が増えた2000年以降なのかもね。でもその一方でエイプとかと同じようにメジャーになる前の90年代の方がカッコよかったってのがこっちにもあったりして

瀬戸

恵比寿系ムーブメントの中心に近いところにいたので、人気としてはそうだと思います。それらのブランド中では、ど真ん中のスタイルながらも合わせやすいシンプルなデザインの服が多かった印象です。

あとこれが結構ポイントなんですけど、商品の質は高いのに他のブランドの相場より少しだけ値段が安い、というのが特徴でした。なので、このタイミングでストリートファッションに初めて入門する若い子たちの駆け込み寺的なブランドとしても広く人気があったんですよ

野田

なるほど。それも狙いだったのかもね。前にも出たけどマーケットのニーズを商品に落とし込んで、スタイルすらガラッと変わっていくのは恵比寿系のブランドの1つの特徴としてあると思うし

瀬戸

そうなんです。僕はブランドが統合される前の玄人受けする頃が一番好きだったので、正直当時はちょっと解せないところもあったんですよね。

でも今考えると、そんなに古くからシーンにいてポジションもあったのに、そこに固執せずにスタンスを変えて進んでいけるっていうのはすごいなって、今になって思うようになりました

野田

《あんとき》は色んなブランドが乱立したけど、ビジネスとして捉えられる感覚があったから20年近くもブランドが続いたのかもね