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《 あんとき 》マーケットを終えて – 熱狂を生み出す6つの仕掛け –

《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック )

6月15日〜16日の2日間にわたって開催された《 あんとき 》マーケット、いかがだったでしょうか?「 東京が一番アツかった《 あんとき 》を体感できるフリマイベント 」 をコンセプトに 《 あんとき 》を作り上げてきたブランド・ショップ・そして個人の方々に出店いただき、ここでしか見れない・買えない商品だらけのラインナップによる熱狂は、オープンダッシュや数々の高額商品の成約を生み出しました。

オープンダッシュの様子も《 あんとき 》感があるなぁと。お店で買ってお家に届くみたいな効率的な買い物ではなく、こんなに熱狂できる買い物の方が断然好きではあるのですが、ダッシュは危険ってことでご注意を

そこで今日のミミックでは、《 あんとき 》マーケットの裏側を振り返っていきたいと思うのですが、懐かしむだけではなく、ストリート × マーケティングというテーマも併せ持つミミックらしく、熱狂を生み出すための仕掛けも振り返っていきたいと思います。

《 あんとき 》マーケット開催の経緯

実は《 あんとき 》マーケット、最初からこのような規模と形で実施しようと、狙ってはじまったわけではありません。最初は身内だけが楽しめる「 ヴィンテージTシャツの展示 」を「 原宿 」で開催したい、という2点だけでした。

そして原宿神宮前商店会の会長である早川さんに開催場所のご相談をしたところ、ご紹介いただいたのが今回場所を提供していただいたオモカド5FにあるLOCULさん。 「 マジかよ 」ってのが正直なところ (笑)。この場所で開催させていただくとしたら、すでに出店されている既存店さんとの買い周りも意識する必要があり、Tシャツ展示だけではその役割を果たすことができない。そこで「 フリマ 」という案が浮上してきました。

裏原宿の入り口でフリマ。しかも出店者は《 あんとき 》を作り上げてきた人、ブランド、ショップといったスペシャルな面々。バイヤーを通さず「 憧れの人から直接買うことができる 」という価値が分かる人であれば本当に大切にしてくれるだろうし、《 あんとき 》の名品たちが国外流出せずに次世代に受け継がれていくのではないかと。

運営チームの編成

企画と場所に目処がついたら次は運営メンバーの編成になるのですが、幸いにもこちらは最初から決まっていました。ヴィンテージTシャツの展示を提案してくれたのが元NIKE / 元UGG®︎の高見さんでしたので、運営メンバーに巻き込み決定。そして元HECTIC / 元atmosの吉崎さんも入社していたので、ミミック主宰の野田を含めた3名が運営メンバーになります。

運営側に求められるスキルは「 天才と大人の事情の狭間で動ける人 」というのが絶対条件になります。ボクたち運営は、イベントの実現に向けて発生する様々な課題や制約を感じさせず、《 あんとき 》を作り上げた諸先輩方になにも気にせずに楽しんでいただき、最高のパフォーマンスを出していただくことがミッション。このメンバーであればその辺はまったく問題なく、しかも顔も広いので出店交渉も有利に働いたことは間違いなく、ご覧の通りの豪華メンバーに集結いただくことができました。

動画接客ツール ザッピング で投稿

 

豪華メンバーと好立地。この条件が揃ったイベントを運営による不手際で失敗させるわけにはいきません。そのためにも先に上げた「 天才と大人の事情の狭間で動く 」以外に、運営側にはイベントを盛り上げる役割も求められます。そこでいくつかの仕掛けを散りばめさせていただきました。ここではその仕掛けをご紹介していきたいと思います。

熱狂を生み出す仕掛け1 何が売っているか事前に知らせない

まず1つ目は「 発見 」を生み出す仕掛けです。

これは「 最近、買い物がつまらない 」という違和感を10年くらいずっと感じていたのですが、その正体が「 発見の欠如 」にあると分かりました。どういうことかというと、現在のお買い物はSNSによって事前に何が発売されるか告知され、または通販サイトで何が売っているか分かった上で、お店に買いに行く。何かを発見するという行為がスマホで済み、お店には目的のものを買いにいきます。これって今夜のメニューはカレーなので、ルーとジャガイモを買いにスーパーにいく、という買い物の仕方と同じ。服にそこまで詳しくない方であれば便利で良いのでしょうが、自分で掘り出しものを探せるような大好きな層からすると、買い物が作業化されたことで熱狂できる場所を見つけることが難しくなってしまったと思います。

そこでスタートしたのが「 あんときのストリート 発掘ツアー 」。何が売っているか分からない地方の古着屋に《 あんとき 》の商品を探し求めて旅を続けるのですが、どのお店に入ってもワクワク・ドキドキの連続でした。お店に入った瞬間から楽しい。アドレナリンにまみれながらハンガーラックをカチャカチャ掘っていくのだけれど、そう簡単には巡り会えずお店を出る。それを何店舗も繰り返した果てに、やっと見つけた1着。この圧倒的な不効率を乗り越えたからこそ得られる成功体験こそが、《 あんとき 》と同じ買い物体験であり、デジタル化によって効率的な買い物に偏重してしまい、どこも同じような買い物体験しかできない中で際立つと思い、ずっと試してみたい方法でした。

そこで今回のフリマでは、事前告知はミタさんのASKのみで、他の出店者の皆様の商品については一切告知しませんでした。私物も多かったので分からなかったという点もあるのですが、それでも途中途中で「 誰々が何々を出すらしい 」という話が飛び込んできて、「 うぉ、告知して煽りてぇ 」という誘惑に何回も何回も駆られましたが、そこはグッと我慢して、お店に来たときが初見に溢れることを意識しました。

その結果は、やはり成功だったと思います。数々の高額商品の成約がありましたが、基本それらは会場で発見したものになります。つまり最初から欲しいと思っていなかったのに購買が発生し、掘り出し物を見つけた!と大満足していただける。たとえ買える値段じゃなかったとしても未販売品などを拝めるという価値も高かったと思います。

そしてこの発見をスマホではなく、店頭に移したことによって、お客さんの投稿も格段に促進されます。SNSの投稿動機には「 面白いとき 」「 なにかを発見したとき 」「 自慢したいとき 」が大きなウエイトを占めると思いますが、事前告知をすると、なにが出てくるか分からないというワクワク感が削がれ、発見もなくなります。つまり面白さと発見がなくなり、自慢くらいの投稿動機しか残りません。だからこそ、あえて見せずに発見を店頭に残しておくようにしました。

熱狂を生み出す仕掛け2 身内抜きを許容、いや率先する

今回のイベントは15日と16日に開催したのですが、14日(金) の夕方から関係者のみのレセプションを開催しました。通常、こういうレセプションでは販売せずに、公平性を期すためにも本番にとっておくものですが、出店者の皆様には「 レセプションで販売可能であれば販売してほしい 」とお願いしていました。

《 あんとき 》をコンセプトにしている以上、それは当然だと思いますし、なにより「 先に買った人がいる 」という姿を見せることによって「 ムカつく、自分もあそこに行きたい!」という怒りと憧れを持つことができます。この怒りと憧れというのは自分を成長させる上で最高のガソリン。それが一挙に2つも手に入るなんて、そうそうあることではありません。

当然ボクも事前に抜かせてもらいました。

どうだい? ムカつくだろう (笑)。でもさ、《 あんとき 》には、理不尽なスタッフに謎にキレられながらも列に並ぶストリートキッズの1人だったボクが、30年を経て憧れの人たちとイベントをご一緒させていただき、こうして身内抜きができるようなる。後進の教育のためにも必要なイニシエーションだと思って今回、実施させていただきました。

あともう1つ、誰しもウエルカムなイベントではなく来るのに気合が必要。そんなイニシエーションを潜り抜けてこそ、自分の血肉となり、カッコいいは生まれてくると思います。だからこそイベントの敷居を高くしたかったのですが、そこは心配ご無用でした。今回のイベントでも SNS や YouTube でフォロワーを持っている人が来ても、《 あんとき 》の中にいたり、今の現場にいるようなリアルじゃない解説者は声すらかけてもらえない。そんな《 あんとき 》と同じ洗礼も見てて最高でした ( 認知してないだけかも 笑 )

熱狂を生み出す仕掛け3 変化することを前提とする

ブランドに勤務していたときに出席していた店長会で「 店頭を変えるためにボディを変えます 」という報告をテンプレのように耳にしていました。うん、なるほど。10年間だからまだよかったかもしれないけど、今はこれだけではまず無理なんじゃないかなと思います。だって、これだけ変化の大きい時代に、それだけの変化ではお客さんは気づかないのではないか?と。

そこで今回のイベントでは、日ごとに出店者を変える、ゲリラ出店できる、商品のみで出店できる、という3つのメニューを用意して、イベント中の変化量をなるべく大きくすることを意識しました、その結果、運営をサポートしてくれた久保さんや多賀くんが急遽ブースを作って自分のバイト代を稼ぎ出したり、塚田さんは高見商店に合同出店。オルスニ上田さんや運営の吉崎さんの商品が急遽、高見商店に追加されるなど、一定の変化を出すことができたと思います。

その他にも名前は出せないものの人気ブランドや著名人の商品もイベントに揃えることができました。一方で分散させずに1日にフルコミットしてスパッ!と終わるという方法もアリかなとも感じたので、この辺は仮説として大事にあたためておきたいと思います。

熱狂を生み出す仕掛け4 横ではなく縦を意識した商品構成

これは当然といえば当然で、1番大きな要素ではあるのですが、《 あんとき 》をコンセプトにしている以上、多くの商品は過去商品でした。《 あんとき 》には日本未発売などに心躍らせていましたが、今ではSNSによって情報の価値が下がり、越境ECも進んできたことで海外に珍しいものを求めるのが《 あんとき 》より格段に難しくなってきました。

一方で情報の民主化により過去商品を見かける機会も増えました。にも関わらず、手に入れようにも、どこで手に入るかも分からない。つまり、ほとんどの商品が「 ここにしかないもの 」になり、イベント自体が「 どこにもないものが、ここにはある」という状態。横=海外、縦=時間と考えると、時空を超えることは誰にもできません。しかも当事者本人から買うことができるという特別な体験。その価値は計り知れません。

また出店者が他の出店者の商品を見て、焦ってさらに追加してくれる、という相乗効果も面白かったです。手札の見せあいのような裏側で行われていた攻防戦も、とても見応えのあるものでした。

熱狂を生み出す仕掛け5 「 ひけらかさない 」カッコよさを第三者が「 ひけらかす 」

《 あんとき 》の先輩たちの背中を見て学んだことは数多くあるのですが、その中の1つに「 ひけらかさない 」というものがあります。SNS全盛の現在は「 ひけらかす 」ことによって見てもらえる状況になっていますが、《 あんとき 》は分かる人にだけ分かれば良いという「 ひけらかさない 」ことがカッコよさの源泉の1つであり、その隠された魅力は雑誌という見せる術を心得た第三者があの手この手で取り上げて拡散することによって世に知られ、あれだけのカルチャーが育まれていきました。

でもイケてる先輩たちはダサいことはしません。というか、できません。だからカッコいい。だったらその役割は運営チームが担えば良いのです。ファッションメディアの方々へのアプローチや、SNSでの告知は運営が一手におこない「 出店者の方がシェアしてくれたらいいなぁ 」くらいなもん。そこを 「 シェアしてください! 」なんて御法度です。

そしてイベントが始まってからは、オープンダッシュやブースへの殺到が始まり、出店者もお客さんもスマホを見る暇もなく店舗にコミットします。でも並行して、その熱狂をデジタル上にも存在させなければなりません。今の時代は、リアルとデジタルの2つに存在することが必要になるので、基本的にイベントが始まってからは、ボクだけはデジタル上の人という立ち振る舞いで、出店者の方やお客さんのストーリ-への対応やお店の最新事情をリアルタイムにストーリーに載せていました。イベントが終わった後にまとめて対応では、もう遅い。熱狂を感じても、体感できる場所はもう終わっているからです。ここは《 あんとき 》と違い、アップデートが必要な部分だったかと思います。

熱狂を生み出す仕掛け6 発信はスカさない。詳しい知り合いくらいの距離感で

その発信で大事なことが1つ。それはスカさないということ。プレスリリースやフライヤー、SNSの発信、すべてに一貫させたスタンスとして「 詳しい知り合い 」くらいの距離感での言葉使いを意識しました。通常、イベントやブランドが何か発信すると、かしこまってしまいます。でもそれって実は全然伝わってないんですよ。これは散々テストしてきたので自信を持って言えます。

簡単な例をあげると、リュックをバックパック、Tシャツをカットソーなど、スカすとまったく普段と違う言葉使いやキーワードになり、結果伝わらず売上も落ちる。だからこそミミックではすべて「 詳しい知り合い 」くらいの距離感を意識しており、よろしくを1つとっても、「 よろしくお願いいたします 」ではなく「 ヨロシクお願いします 」と表記しています。

また開催日のLINE配信も、目覚ましの役割として活用したり、目を覚まして出発の準備をする頃にはコーデの指定をしてみたりなど、かしこまらないで見てもらえる言い回しを選ぶようにしていました。

今回意識したことはこのようなことでしょうか。

ボクは30歳までどっぷりと《 あんとき 》のストリートに身を置いてきましたが、熱狂を生み出し、継続させていくには、マーケティングの力も必要だと痛感して、30代はマーケティングの仕事に従事してきました。そしていつか、そこでの経験をストリートシーンに持ち帰り 「 綺羅星のような才能を持った諸先輩方のお役に立てるようなことがあれば 」と、ずっと思ってきました。そして独立して、今こうして《 あんとき 》のストリートを作り上げてきた偉大な先輩方と久しぶりにご一緒させていただき、自分なりの役割を持って壮大な遊びに参加することができました。

イベント開催にあたり、多少の持ち出しがあったことも事実ですが、かけがえのない経験を得ることができ、ボクが一番良い買い物をできたんじゃないかなって思っています。今も余韻に浸ろうとする脳にムチ打ちながら記事を書いてます (笑)

最後に。ご来店いただいた方々、出店いただいた皆様、告知に協力いただいたメディアの皆様、協賛いただいたバドワイザー様、会場をご提供いただいたLOCUL様、共催としてバックアップしてくれた早川さんを始めるとするウラハラプロジェクトの皆様、そして寛大な心でスタッフTシャツを許可いただいた真柄さん、当日サポートしてくれた久保さん、多賀くん、最初から最後までご一緒に動いてくれた高見さん、吉崎さん、本当にありがとうございましたっ!

これにて《 あんとき 》マーケット終了です!本業頑張ります(笑)

※スタッフTシャツの販売はありません、あしからず

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最近、本業ではこんなことしていますので、ご興味持っていただいた方は寄っていってください。いかん、ひけらかしちまった (苦笑)