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Word of Mouth|スケートとグラフィティ。ストリートの2大カルチャーの魅力を教えてくれるワード・オブ・マウス

《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック )

野田

今回は当時『オーリー』でも大変お世話になったWord of Mouth(ワード・オブ・マウス)を紹介したいと思うんだけど

高柳

まずネーミングがカッコいいですよね「ワード・オブ・マウス」という。「口コミ」という意味みたいなんですけど、確かに当時のストリートって口コミでカッコいいブランドやアイテムが伝播していて、それを端的に表現しているワードセンスに脱帽してしまいます。デザイナーのESOWさんがジャズが好きで、ジャコ・パストリアスのセカンド・ソロアルバムから引用したって当時聞いたことがありますね

遠山

東京なり国内のスケーターによる、いわゆるインディーズブランドとしても早い時期からやってたよね

高柳

僕が初めてワード・オブ・マウスを見たのは、現在は代官山にあるスケートショップ、カリフォルニア・ストリートがネットのオンライン販売ではなく、電話やアナログな手法で通販をしていた頃のカタログ的な小冊子だったと記憶しているので、かなり早いですよね。確かその前にはマニアックっていうブランドもやっていたと思います

野田

スケボーとグラフィティ、2つのストリートカルチャーの架け橋的なブランドとして存在していたよね

高柳

そこもカッコいいところですよね。スケートボードもジャンプランプ世代ですし、グラフィティをはじめた世代的にはカズロックさんと同じくらいになるんですかね?

遠山

多分、そうだと思う。いまだにスマッシュって前の呼び名で呼んでたのはカズさんくらいだからね

瀬戸

僕とかだと浅草橋にあったダイオードで取り扱われていたブランドっていうイメージだったんですけど、その前からあったんですね。

遠山

いや、だいぶ前からだよ。しかも、ダイオードって浅草橋の前には、コーシン (当時上野にあったスケート&スノー系の輸入代理店) の一階にあったの知ってる?

瀬戸

知らなかったです!僕がオーリー編集部に入ったときには浅草橋にあったので

高柳

でも、たしかにワード・オブ・マウスってダイオードが浅草橋に移ったタイミングくらいにブレイクしたように思いますね。聞くところによると当時、人気絶頂のケミストリーの川畑要さんが購入していたらしく、「おー、そこまで裾野が広がっているのかー!」って驚きました。でも、RGOA、オピオイドをはじめ、あのアナログ感が下町という立地とリンクして、かなりカッコいい世界観を築き上げていましたよね。ダイオードも発光ダイオードをイメージさせますし、RGOAもラピッド・グロウス・オブ・アナログ(ハイテクとローテクの間)の略ですし

画像引用:Aucfree

遠山

そうだね。MINOさんがやってたブランド、レピデックス・システムズもあったよね。RGOAから派生したスケシューブランドのトランスミットもカッコよかったし

高柳

当時ファッションとかカルチャーは原宿中心だったけど、東京下町のカルチャーだってカッコいいよ、って教えてくれたのがダイオード周りでした。ややカウンター的といいますか

遠山

カウンターを目論んでたか否かは別として、出てきたタイミングだったり、上野や浅草橋という場所でやるっていうことが、結果的にカウンターになってくるんだよね。上野公園だったり、秋葉原だったり、バリバリの東京ローカルスケーターが滑ってるスポットがあったのも、あの周辺だったじゃん

高柳

たしかにそうですね

遠山

ブランドのラインナップを考えても、やっぱり原宿のヘックテック、上野のダイオードみたいな。そのブランドのバランスが面白かったよね。両方とも「東京感」がちゃんとあるんだけど、ヘックテックとの違いは個が強いというか、グラフィカルなものが上手いんだよね。色もヘックだったらグレー単色になるけど、ワード・オブ・マウスになるとここに赤やオレンジが差し色で入ってきたり、ちょっとグラフィティ色が強いところがスタイルになってた

野田

原宿だとグラフィック、上野だとグラフィティ。そんなイメージですよね

遠山

おー、まさにソレ!ストリートをスプレー缶でガシガシいくか、MACのモニターでテクニカルにいくかの違いっつーかさ

瀬戸

スターもヘックテック側には岩崎進吾くんがいて、ダイオード側には竜人くんがいましたよね。ワード・オブ・マウスはまだアパレルとしてリリースはしているんですか?

遠山

たまに作って出したりしてるんじゃないかな。ESOWとしてのアーティスト作品はいろんなとこで見るし、相変わらず素晴らしい。俺はWOM超好きだからもっとディグりたいね

高柳

そして、我々、元オーリー編集部ですとワード・オブ・マウスと一緒に開催したイベント「THE ILLEST WOMER SHOW」の想い出が強いですよね

野田

あと、ワード・オブ・マウスのフィギュアも作らなかったっけ?

高柳

作りました。遠山さんが企画して、僕はフィギュア製作会社とやりとりしていたんですけど、金型からESOWさんの納得のいくクオリティのフィギュアにもっていくまでに何度もやりとりしたのを記憶しています。あれは個数を限定してたのもあるけど即完売して、今でもかなりレアな逸品となっているのではないでしょうか。今もアーティストとして活躍されているESOWさんだけに、昔のワード・オブ・マウスのアイテムって、今後価値が高くなる予感はかなりします!