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FAT|緻密なコンセプトワークと絶妙なシルエット!キーマン2人が手がけた《 あんとき 》のFAT

《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック )
野田

はい、今回はFAT(エフエーティー)ですね。ブランド名のとおりファットなシルエットの服だった記憶があるんだけど、ヤナギがよく着てたイメージ

高柳

そうですね、よく着てました。取材に行くと、よくプレゼントしてくれたという側面が強いんですが、本当は(笑)

遠山

でた(笑)。まさにストリートバブルの恩恵。好きで着てたんじゃないの?

高柳

いや、もちろん好きでしたよ!

瀬戸

FATは自分がオーリー編集部に入る前からあったと思うんですが、いつ頃スタートしたんですか?

高柳

立ち上げは2002年だね。スケートカルチャーがバックボーンになっていてワーク系やアイビーなどベーシックなアメカジの雰囲気をもつデザインの服が多かったから、当時の自分にはドンピシャだったかな。

ブランド初期のコンセプトは「都会的でありながら、タフであること。リアリティがあり、日常にフィットするカジュアルウェア。常にストリートに存在し続けるアイデンティティー。他のどこでもない。Tokyoストリートを表現する。それが、FAT。」となっているね

画像引用:FIGURE

野田

結果何言ってるかさっぱり分からないという、アパレルブランドのコンセプトあるある(笑)

瀬戸

ブランド自体はまだあるんですよね?

高柳

あるね。しかも《 あんとき 》ほどではないにせよ、結構人気あるみたい

遠山

俺の記憶だとブランドが立ち上がって、すぐにフラッグシップストアができて…って、成長速度が凄まじいなって感じてたんだけど、その理由ってどのあたりなんだろ?

画像引用:FIGURE

高柳

それはやっぱりCEOをやっていたTITO ( ティト ) さんの人脈の広さなんじゃないですかね?

野田

TITOさんって、もともとあの頃、一世を風靡してた naichichi ( ナイチチ ) にいたよね?

画像引用:XTR道場

高柳

ですね。それで雑誌に頻繁に出演するようになって一気に有名になった感はありますね。その前はマグナムっていう、主にドレスシューズのインポートなんかをやっていた会社にいたみたいですよ。

でも、やっぱり個人的には人気のアメカジセレクトショップ、US ( アス ) を現在のオーナーである植村さんと立ち上げた実績が大きいのではないでしょうか?

画像引用:裏原マグ

遠山

あ、そうだったっけ?だからFATのブランド特集なんかでも、USのスタッフの人たちがよく登場してたのね

高柳

そうです!ドメスティックブランドならFAT、インポートブランドならUSという独自のラインがありましたよね。原宿を歩いているとそれっぽいファッションに身を包んでいる若者によく出くわしましたもん

瀬戸

サイズのネーミングも独特ですよね。Mが「TITCH」、Lが「SKINNY」、XLが「FAT」、XXLが「JUMBO」という

画像引用:RINKAN

高柳

ネーミングセンスも抜群だよね。この辺からもストリートカルチャーのエッセンスを上手く引っ張ってる感じがよく出ているよね。

遠山

オーバーサイズで着ることをサイズのネーミングで謳ってるワケだ

野田

《 あんとき 》にあれだけウケたのって、シルエットの良さなのかな? 絶妙なルーズ感というか

高柳

だと思います。僕がおもうにそれはパタンナーの人の実力だと思うんですよ。FATの《 あんとき 》のパターンを引いていたのは、実は今洋服好きの間で絶大な支持を得ている STABILIZER GNZ ( スタビライザージーンズ ) を手がけている矢實くんだったんです。それもあって自分はFATを着たいと思ったというのは大きいですね

画像引用:STABILIZER GNZ

遠山

ホントかよ!?パターンナーで買う服を選ぶって、マニアックすぎない(笑)?

高柳

本人はあまりメディアとかに出たがらないので知る人ぞ知る業界人なんですけど、例えば patagonia ( パタゴニア ) のミリタリーラインである「MARS」とかをファッション業界で流行らせたりとか、超マニアックな動きをしていてカッコいいんですよね。

スタビライザージーンズもそんなにメディアには出てこないじゃないですか? でも、コアな洋服好きの人にはかなり注目されているはずですよ

瀬戸

ヤナさんと矢實さんはどういう関係なんですか?

高柳

’90年代に今は亡き東急文化会館の屋上でフリーマーケットが開催されていたときに知り合ったんだけど、当時からスラッシャーのフィッシャーキャップとかコートフォースとかヴィンテージスウェットとか着ていて、すごいオシャレ度の高い人だったんだよね。

あの当時、その後、裏原宿で活躍する人たちがわんさか集まっていたんだけど、矢實くんはグンを抜いてオシャレだったのは記憶してしている

野田

ボクもそこに出店してたハズなのにヤナギの目には止まらなかったか、まだまだ修行が足りないな(笑)。

ところで、《 あんときの 》FATの名作といったら何になるの?

瀬戸

スタジャンのイメージが強いんですけど、どうですか?

高柳

僕もスタジャンだと思うな。毎年デザインを変えてリリースされていて、好きな人は集めてたりしているんじゃないかな。特にファンの間では2003年にリリースされた「HOMIES」というスタジャンが人気が高くて、2012年に復刻されたみたい

画像引用:Fashion Fan

遠山

あ、これ覚えてる。オーリーのブランド特集でもスタッフ全員で着てて、ポッセ感あったわ

高柳

確かに《 あんとき 》のFATはいろいろとポッセ感ありましよね。スケートボードカルチャーがバックボーンなんですが、TITOさんがBボーイカルチャーも好きだったから、’90年代のヒップホップのポッセ感も上手く出ていましたよね。

実際、ヒップホップのアーティストが好きだった Ralph Lauren ( ラルフローレン ) へのオマージュウエアも《 あんとき 》はよくリリースされていた記憶があります

遠山

スケートも黒人スケーターがごそっと出てきた時期とか好きそうだよね。 CALVIN KLEIN ( カルバン・クライン ) とか GAP ( ギャップ ) なんかをオーバーサイズでケツ穿き的な

画像引用:birnest

野田

今リリースされているアイテムを見ても、あまり当時と変わらないデザインだね。流行の変化からまったく違うテイストになってしまうブランドも多い中で、ストリートブランドってリアルさが何より大事だからこれは好感持てるよね

高柳

そうですよね。そこがFATの人気の源泉なのかもしれませんね

※ 記憶が頼りでして事実と違うことがあったら、すいません!