「買う前」の楽しさを存分に味わえるエンターテイメント型リユースショップ
これまで《 あんときのストリート 》発掘ツアーを何回か重ねてきて、ボクたちが狩場として立ち寄るお店の特徴について解説していきたいなぁと。
まず前提として、ボクらがすごした《 あんときのストリート》では、主に3つのリユース業態があったと思います。それは1つが「アメリカ古着」。そしてもう1つがラグタグみたいな「ブランド古着」。最後がストリート、特に裏原系に絞ってプレ値で販売する「委託屋」の3つ
《 あんとき 》といえば、委託屋が幅効かせてましたもんね、フールズジャッジやナナ・インターナショナル的な
その3つはどれも感度が高い人たちがいくお店だよね
そこにユニクロと共にオシャレを大衆化したセカンドストリートみたいな業態も広まっていく流れがメジャーだとしたら、そのカウンターとして地方のロードサイドではボクらが愛する万代書店のようなショップがスタートすると。これが2004年4月になるのかな
「エンターテイメント型リユースショップ」ですね
そう、商品じゃなくて体験を売るを体現しているお店だと思っていて
ゲーセン・ゲーム・古着・楽器・漫画・トレカ・オモチャ・CD・DVDといった中古品が売っていて、ミニ四駆のコースや音楽スタジオまである店舗もあり
朝から家族連れで大賑わいですもんね。ボクも近くにあれば子供連れていきたいですもん
そう、遊び場なんだよね。お客さんは買い物に行くという感覚ではなく、レジャー感覚で来ているんじゃないかな。
これは前の記事でも書いたんだけど、買い物って「買う前」と「買った後」と2つの楽しみがあると思っていて。買う前に色々調べたり「ここに売ってそう!」みたいなアタリをつけたり、実際に予想通り発見できたり、予期せぬところでふと発見したり。ボクはそういう「買う前」の楽しみの方が好きなんだけど、今のお店って通販で何が売ってるか事前に分かっているからまったく買い物が楽しくなかったんだよね、売っていると分かっている場所に買いに行くという感じで、買い物が作業になっていたので。唯一楽しかったのが海外での買い物だったんだよね
なんでですか?
何が売っているか分からないから。お店に入ったら「この店ありそう!」とか「ハズレっぽいなぁ」って繰り返すわけじゃん。まぁ、ほとんど何も出てこないんだけど、それでも毎回毎回懲りずに「何かでてきそう!」っていうワクワクが繰り返される
なるほど、なるほど
並んでやっとお店に入れたけど、もうすでに売り切れとか、そもそも入荷してないとか、何が売っているか分からなかった《あんとき》もそんな感じですよね。で何度かそんなことをしていると、ふと買える瞬間がある。あの喜びは病み付きになりますよね
そうなんだよ。まるでロトの剣を手にしたような感覚だよ (笑)。そういう日本では久しく味わえなくなってしまったドキドキ・ワクワク感を万代書店に初めて行った時に感じてしまったんだよね。
効率ばかりを求めるプロパーのお店に辟易としていたところに、この無駄だらけという衝撃。やべー!ココ、なんか出てきそう。超楽しい!って。そうしたら案の定出てきちゃうし (笑)。そんなんされたら、どハマりするに決まってるじゃん
面白いのは、漫SAI堂、ぐるぐる大帝国、鑑定団など、万代書店とそっくりなお店が各地にあるんだよね。どこがオリジナルなのか分からないけど余りにも酷似している
多くて5店舗くらいの規模で全部地場に根付いてるんですよね。うまい具合に距離感とって散っている。ヤマダ電機の跡地に居抜き出店みたいな点も共通してて (笑)。全国探したら、違う名前で同じような業態のお店はあるんでしょうね
さっきの「買う前」と「買った後」の楽しみの話でいうとさ、リユースショップは自分たちで商品を生産しないので「買う前」の楽しさをいかにコントロールするかが大事だと思うのね。もちろんこれはプロパーの店舗にも当てはまるんだけど。
「買った後」の楽しみってさコントロールしづらいじゃない。商品を良くするにも限界あるし、ユニクロというコスパ最強の存在があると「買った後」の楽しみのハードルが上がりすぎて差がつきづらい。
一方で「買う前」の楽しさって「買った後」よりコントロールしやすいと思っていて、エンターテイメント型リユースショップってその楽しさの演出が長けているなぁって。最新の海外事例もいいけど、こういうとこがもっと語られてもいんじゃないかなとも思う
場所が地域に根付きすぎてて、目立たないんだよ
確かに (笑)
発掘の醍醐味は特価コーナーにあり!体力のあるうちに掘り起こせ!
エンターテイメント型リユースショップの中で、印象深い店舗ってどこでした?
郡山の漫SAI堂だね。俺は山梨の万代書店にいけてないんだけど、今まで回った店の中では漫SAI堂がトップだね
入口のレトロゲームコーナーは圧巻でしたね
のっけからツインファミコンがお出迎え (笑)
そうそう。今の子供があのピンクのツインファミコンでグラディウスやってるのよ
デモ機にツインファミコン持ってくるセンスがズバぬけてますよね。ネオジオもちゃんとセレクトしてたし。しかもカセットもいっぱいあるし、《あんとき》のファミ通とか攻略本も売ってて。ファミ通の冒頭にあるソフトの採点コーナーでは、ウィザードリィ 8・8・9・7とかさ (笑)
全部、立ち読みできるからお父さんも楽しいしね。レアなカセットなんか結構いい値段付いてるの。東方見聞録とか当時の値札がそのまま付いてて5800円なんだけど、漫SAI堂では6800円みたいに高くなってるし (笑)
メガドライブにファンタシースター、CDロムロムに天外魔境、ネオジオに餓狼伝説と、ハードとその看板ソフトが普通に並んでましたからね
もちろんプラモとかラジコンとか楽器とか古着とか、定番のラインナップもあるんだけどさ、あの屋上の駐車場に行く途中にある超レアなアニメグッズとかソフビフィギュアがやばかったよね
昔にアニメイトに売っていたような、うる星やつらの下敷きのコレクションとか
他にもまんだらけ級の昔の和物のソフビとかね
その中にパームボーイもあったり (笑)
この辺のお店のポップの付け方とか大事にしている商品を見ると、スケボーブームだったり、ホコ天だったり、バンドブームだったり、アメリカ古着ブームだったりっていうのを、一通り体験した人がオーナーなのかなっていう風な気がするんだよね
確かに。高崎の万代書店で名古屋のブランドであるツイムのパーカにポップが貼ってあったしな。けっこう知る人ぞ知るだろうし
そうそう。ツイムを推すってことはバウンティとかも好きなはずなのよね。そうすると原宿やパンクにも繋がるだろうし
明らかにバンドやってそうな店員さん多いですもんね。しかも3,800円のパーカーにわざわざ手書きポップを付けるくらいなんだから好きでしょうがないんだと思う
ルード系っていう呼び名も初めて知ったのもこの辺のお店ですね
ネイバー、ダブルタップス、ワコマリア、コアファイターのようなブランドに加え、キャリー、ラディアル、クーティなんかも一緒にルードコーナーとして展開してますよね
どこにいってもルード系ってコーナー展開されているから人気あるんだろうね。他にも入り口のシュプリーム、そしてアウトドアコーナーのノースフェイス推しはどこも定番。あと現在もあるブランドはちゃんとブランド分けされたコーナーにあることが多いよね
うん。ストリートコーナーにちゃんと置いてある。ブランドでいうとエイプ、ステューシー、( エクストラ ) ラージ、スワッガーあたりはブランド分けされているよね
反対に今無くなってしまったブランドを探すには、特価コーナーなんですよね。ここからヘックやリーコン、ギミーファイブ、フューチュ、サキャスティック、モーティブなんかを掘り当てることができた
掘り起こす醍醐味は特価コーナーにあるんだよね。だから体力がある最初のうちに見た方がいい
そうなんですよ。セレクトされていないエリアを見るのは、結構気合いがいるんですよね
シャツコーナーが大変なんだよ、全部チェックとか全部白とか、差がほとんどない中でタグだけで見分けていくんだけど、あれけっこう覚悟決めてから掘り起こし始めるもん
反対にTシャツは、圧倒的に探しやすいですよね
Tシャツはもうレコード感覚だよ
どれも共通するのは、まずハンガーラックの右側に商品をすべて押しやって左側にスペースを作ると。そして目線を首元のタグの位置に固定して、一気に左側に引き寄せていくと。奥から手前に引き寄せながら見るのがレコードだとしたら、服は右から左ってだけ。あとはレコードと一緒 (笑)
特にパンツが顕著なんですけど、明らかにストリートなアイテムって雰囲気もってますもんね
そうそう、意外と分かるよね。そこもシャツは鬼門なんだよね、雰囲気にそう大差がないので
この先リユースがどうなっていくか分からないけど、年数と共に《あんときのストリート》がどんどん風化してしまう部分はあるだろうから、より特価コーナーが充実していくんじゃないの?
確かに。現時点ですら出てこないブランドって、かなり多いですもんね
そう。一世を風靡したのにロックハードとか全然出てこないんだよね!あとはその流れでいうとノトーリアス・ジュースとかね
ノトーリアス・ジュースなんて出てきたら泣いちゃうよ、俺
泣いちゃいますね (笑)
腰砕けでその瞬間、買い物終了するよ。今日はもうお腹いっぱいです、みたいな。あとペイド・イン・フルとかね
懐かしい (笑)
ミミック御用達!《あんときのストリート》発掘ツアー定番スポットをご紹介
本店は山梨にあり、埼玉・群馬・長野に支店を構える万代書店。ミミックが一番愛するショップでTwimのポップを書いたり、ディスプレイだったDJマスターキーのフィギュアを売ってくれたり、なんでもアリな雰囲気が最高
秋田・福島・岩手に5店舗構える。ゲーセンや古着も当然揃うが、圧巻だったのは郡山店の入口を入ると登場するツインファミコンやネオジオといったレトロゲーム。親子で楽しめるエンターテイメント・リサイクルの名に嘘偽りなし
茨城に二店舗・そして東京の八王子・埼玉・千葉・群馬に一店舗と全部で5店舗を展開するぐるぐる大帝国。キャシュレス還元やアプリ、充実したホームページなど、他の体験型リユースショップと比べてもITリテラシーが高い雰囲気 (笑)
その名の通り茨城県・水戸にある体験型リユースショップ。場所によって宇都宮鑑定団、ガラクタ鑑定団、ハーマン黒磯鑑定団など、ショップ名が変わる。ガラスケースに大事に陳列されたクリームソーダのレアアイテムたちが印象的
青森から大阪まで、全国に30店舗ほどのチェーン展開をするリユースショップ。毎週水曜日に価格が下がる仕組みになっており、ねぎや人参が値札になった特価品の中にごくごく稀に《 あんときのストリート 》が存在することも
全国600店舗以上と圧倒的な店舗数を誇る。しっかりと季節感が考慮されており、《 あんとき 》から今なお活躍中のブランドを探すならオススメ。今はなくなってしまったブランドを発掘したいならスーパーセカンドストリートへ