今年の2月25日に復刻される CAMPUS SUPREME( キャンパス・シュプリーム )の発売を記念して、街角の英雄たちが愛した《あんとき》の adidas ( アディダス ) とストリートの主旋律ともいえる “ハズしの美学” を振り返るミミックの特別企画!
街角の英雄たちが愛した《あんとき》の adidas とハズしの美学【 CAMPUS SUPREME 発売記念 特別企画:前編 】
前編 では、Beastie Boys ( ビースティボーイズ ) が愛した CAMPUS ( キャンパス ) や、レジェンドスケーターたちがオルタナティブな視点で愛用した adidas のローテクシューズについて語り合ってきましたが、後編では「 アナログ × ハイテク 」がキーワードとなった ’00年代の adidas のスケシューや YOPPI さんと藤原ヒロシさんがリコメンドした CAMPUS SUPREME について語り合っていきます。
《あんとき》の裏原シーンで紹介された、当時のレアな連載記事なども公開しています!
こちらが、その CAMPUS SUPREME 。商品の詳細については、ページの最後で紹介しています
00年代初頭
’00年代の adidas スケシューに見る「 アナログ × ハイテク 」というキーワード
adidas のスケートラインといえば、やっぱりマーク・ゴンザレスのシグネチャーモデルを語らないわけにはいかないんじゃない? あの時代、マーク・ゴンザレスといえば、スケートをしない人たちからも絶大な支持を得て、ストリートのアイコン的な存在になっていたよね
そうですよね。adidas のスケートラインが成功したのは、チームにマーク・ゴンザレスが加入したからと言っても過言ではないかもしれませんね。
先ほど、’90年代中頃に adidas や NIKE ( ナイキ ) といったメジャーブランドがスケートシーンに参入したという話をしましたが、実はスケーターたちからは「 スケートとは無関係の巨大資本が、僕らのシーンを乗っ取ろうとしている 」という見方をされてしまったようで、ビジネス的にはコケてしまったんですよね。
そこで adidas はマーク・ゴンザレスやランス・マウンテンといったレジェンドスケーターをチームに加入させることで、スケーターたちの信頼を獲得し、’90年代後半に満を持して再度シーンに参入したんです
マーク・ゴンザレスのシグネチャーモデルの第1弾(右)と第2弾(左)。画像は雑誌『ollie』より
マーク・ゴンザレスのシグネチャーモデルの第3弾。画像は雑誌『ollie』より
マーク・ゴンザレスのシグネチャーモデルの第4弾。 ※問い合わせ先は当時のものです
こうやって当時のモデルを見返すと、ゴンズのアーティスト性がシューズにも表れていて、パッと見だと adidas とわからないほどの独創的なデザインをしているよね。触れていいのか悪いのか分からないけど、これだけ自由にやらせてもらえてる人って、ここからカニエまで出てきてないんじゃない (笑)?
確かにそうですね (笑)。なんと言いますか、オルタナ感がスゴいですよね!正直、当時はこのカッコ良さに気づけなかったんですが、今見ると逆に旬なデザインをしているといいますか
ゴンズのシグネチャーモデルがリリースされて以降、一部のストリートシーンで adidas のスケシューって流行ってなかった?
流行ってましたよね!《あんとき》のストリートでインポートブランド人気を再熱させたセレクトショップの US( アス )が仕掛け人となって、日本未発売の adidas のスケシューを盛り上げていましたね!
’00年代に一部のストリートシーンでコアな人気を集めていた adidas のスケシューたち。画像はすべて雑誌『ollie』(’02年)より ※問い合わせ先は当時のものです
こうやって見ると、アナログ感とハイテク感を上手く融合させていて、同時期に発売された CAMPUS SUPREME と通ずるデザインをしているよね
00年代初頭
YOPPI さんと藤原ヒロシさんがリコメンドした CAMPUS SUPREME
adidas のシューズは裏原シーンでもしっかりキャッチされていて、当時の藤原ヒロシさんやジョニオさん & NIGOさんの連載でも、かなりの感度の高さで紹介されているんだよね
まず驚いたのが PUMA SUEDE ( プーマ・スウェード ) に代表される外羽のローテクスニーカーを CUTiE ‘90年8月号の「 HFA( Hiroshi Fujiwara Adjustment )」で紹介しているところ。
さっきの話だと、adidas の CAMPUS や PUMA の SUEDE をラインナップした XLARGE STORE ( エクストララージ・ストア ) のオープンが’91年だから、同時期か、むしろそれよりも速いスピードで日本に向けて紹介しているわけじゃない?
もちろん、Run-D.M.C. の流れでそれよりも前に注目されていたというルーツもあるから、あり得ない話ではないんだけど、Beastie Boys と同じ感度でピックアップしている藤原ヒロシさんには本当に脱帽ものだね
‘90年8月号の雑誌『 CUTiE(キューティー)』に掲載された「 HFA 」。雑誌『Fine(ファイン)』をパロったクラブスナップとともに PUMA の外羽スウェードスニーカーが紹介されている
続きは切り取り線をなぞってね!
HFA や LAST ORGY 2 など、裏原宿カルチャーの発端となった伝説の連載から《あんとき》の adidas を振り返る
HFA や LAST ORGY 2 & 3 といった90年代の裏原宿連載を全部振り返ってみると、基本的に adidas で紹介されているのは CAMPUS や SUPERSTAR ( スーパースター ) といった定番モノなんだけど、ヒロシさんに共通するのはソールが白ってとこなんだよね。これは黒ソールだった REDWING( レッドウィング )をクレープソールに変えてブレイクさせた Irish Setter( アイリッシュセッター )にも繋がっていく、裏原シューズの1つの方程式だと思うんだけど
雑誌『 宝島 』でジョニオさんと NIGO さんが連載した’93年の「 LAST ORGY 2 」VOL.15 では、Beastie Boys 人気を受けて復刻された CAMPUS が紹介されている。モデルカットでグリーンの CAMPUS を履いているのは SKATE THING さん
翌月の「 LAST ORGY 2 」では、CAMPUS などの外羽スウェードスニーカーに飽きたという NIGO さんが、次なるシューズとしてエナメルの CONCORD( コンコルド )を紹介
’94年の「 HFA 」では、Dr.J にデザインが近い CONVERSE ( コンバース ) の ROYAL COURT( ロイヤルコート )と、復刻されて即完売したという adidas SUPERSTAR を紹介
’95年の「 HFA 」で紹介されているのは、変わり種のキャンバス生地の SUPERSTAR
そうしたなかで、やや異色に感じるのが、’95年の「 LAST ORGY 3( ラストオージー3 )」で紹介された adidas の NORTON ( ノートン ) 。ADIMATIC ( アディマティック ) と同時代に発売されたスケートシューズなんだけど、裏原文脈でいうと、ADIMATIC よりも NORTON を思い浮かべる人の方が多いと思うし、実際にボクもそうだったんだよね
雑誌『 ASAYAN 』で藤原ヒロシさんとジョニオさんと NIGO さんが連載した「 LAST ORGY 3 」。’95年6月号でヒロシさんが紹介しているのが、adidas のスケートシューズ NORTON
確かに NORTON はこの時代、裏原シーンで流行りましたよね。自分はオレンジカラーの NORTON を履いていた記憶があります
調べてみると、NORTON は LAWSUIT( ロースーツ )とモデル名を変えて、NUMBERNINE( ナンバーナイン )のデザイナーだった宮下貴裕さんが ’12年に復刻しているみたいですね
’10年に宮下貴裕さん立ち上げたオリジナルブランド「 TAKAHIRO MIYASHITA The Soloist( タカヒロ ミヤシタ ザ ソロイスト )」からリリースされた ADIDAS By TAKAHIRO MIYASHITA The Soloist LAWSUIT The Soloist( アディダス バイ タカヒロミ ヤシタ ザ ソロイスト ロースーツ )( 画像参照元:sumally )
おー本当だ!
その後、mita sneakers( ミタスニーカーズ )の国井さんが ADIMATIC のオリジナルカラーを落とし込んだ mita sneakers モデルもリリースしていたよね。この掛け合わせとかニクいよね、さすが。
mita sneakers からリリースされた LAWSUIT MITA( 画像参照元:sumally )
で、’01年になると『 MEN’S NONNO(メンズノンノ)』のヒロシさんの連載「 a little knowledge 」で、今回復刻される CAMPUS SUPREME が紹介されることになると。
2001年の『MEN’S NONNO』の「 a little knowledge 」vol.68
ヒロシさんの紹介文によると YOPPI さんが履いているのを見て、欲しくなったとありますね
そう、きっかけは YOPPI さんなんだよね。過去を振り返れば、NIKE の Air Max 95( エアマックス 95 )にはじまり、New Balance ( ニューバランス ) の 580 や今やすっかり定番となった感もある 574 も YOPPI さんやその周辺の HECTIC( ヘクティク )の人たちがハズしの視点からその魅力をいち早く発掘して、世に広めたスニーカーだったと思うし。
そうした映えある一足の1つが、今回の CAMPUS SUPREME なんだよね
今回の振り返りでも感じだんだけど、’90年代初頭は CAMPUS や SUEDE などのスウェードの外羽ローテクシューズが 再評価されて SUPERSTAR に代わるストリートの顔として浮上し、オルタナティブな人気を博したわけじゃない?
で、その後は Air Max 95 のブレイクをきっかけにハイテクシューズが台頭してきたと。そして、’00年代になると、今度はさっき紹介した adidas のスケシューのようにアナログとハイテクの融合がキーワードになってきた。
そう考えると CAMPUS のローテク感のあるアッパーにハイテクなソールを融合させた CAMPUS SUPREME は、まさにこの時代が求めた一足として生まれるべくして生まれた感じがするよね
同じ ’01年に発売された「 a little knowledge 」vol.71では、3号前のvol.68に続いて2回目の登場を果たした
そうですね。当時の感覚からしても、どう考えても上級者向けの通なモデルなんだけど、YOPPI さんやヒロシさんが履くと、なぜかカッコ良く見えて、説得力が増すという。ヒロシさんが履いているこのベージュも良いよねぇ
本当に。スニーカー単体で見たらオリジナルのCAMPUS のぱちもんとか、お年寄り向けの散歩靴みたいじゃん(笑)。これをカッコ良く取り入れるのは至難の業だよ。まさにハズしの美学だね
まったくトンチンカンな文脈から探してくるわけではなく、主流はある程度押さえながらも、いかに「 そこを狙うか!? 」という絶妙なラインを突けるかがストリートらしいセンスの発揮しどころだとしたら、CAMPUS SUPREME は当時の時代感にも非常にマッチした一足でしたし、’90〜’00年代のストリートブームが世界的に再燃する今のタイミングで復刻させるのが絶好といえる一足になるんでしょうね
ここ数年、ずっーとハイプスニーカーを追い回して「 良いスニーカー = 転売価格が高いスニーカー 」という価値観にバグってしまったスニーカーシーンだけど、本来は他の人と同じ格好をしたくないというヒネくれものたちの手によって作り上げられてきたのがストリートシーンなわけで。
ここ数年はずっーーーと王道を見てきたというか、強要されてきただろうから、いい加減もういいでしょ (笑)。守破離じゃないけど、そろそろハズしの美学にチャレンジする時期というか、なんか ADIMATIC を皮切りにこの流れが加速していくといいよね
いよいよ2月25日発売! CAMPUS SUPREME でハズしの美学を体現せよ
ストリートのアイコンシューズ、CAMPUS をアップデートさせ、バスケットボールシューズとして’99年に発売した CAMPUS SUPREME が2月25日に復刻を果たします。
以下の画像をタップいただくと詳しくご覧いただけます
動画接客ツール ザッピング で投稿
動画接客ツール ザッピング で投稿
カラーは、ブラック × ホワイト、ネイビー × ホワイトの2色を展開。ヌバックレザーのアッパーやパフォーマンスロゴが配されたヒールカウンター、この時代に CAMPUS SUPREME 以外のモデルにも多用された曲湾ソールなど、随所にストリートらしいハズしの美学が宿った一足となっています。
販売価格:1万4300円(税込)
販売日:2023年2月25日