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BACK DROP BOMB|音楽・ファッションともに《あんときのストリート》を牽引したバック・ドロップ・ボム

《 あんときのストリート 》を発掘|MIMIC ( ミミック )
瀬戸

今日はちょっとBACK DROP BOMB(バック・ドロップ・ボム、以下BDB)の話していいですか?

野田

いいけど、なんでこのタイミングなの?

瀬戸

MICRO MUXIMUM(マイクロ・マキシマム)っていうBDBの2枚目のアルバムがあって、その発売から20年を記念したライブってのが昨年末にあって。これがまぁ完全に《 あんとき 》の名盤なわけなんですけど、そのライブDVDがこの間出たんですよ。その音源も今サブスクサービスで出たりしてて、それでちょっと久しぶりに興奮しちゃいまして。特設ページもありますね

画像引用:BACK DROP BOMB公式HP

遠山

それってメガフォースから出してたアルバム?

瀬戸

いや、これはトイズ(トイズ・ファクトリー)からですね。メガフォース(メガ・フォース・コーポレーション)はその前ですね。僕もメガフォースのイメージ強いんですけど、実際はほんとに初期だけなんですよね

高柳

BDBって《 あんとき 》のシーンのバンドとしては古いの?

瀬戸

バンド自体は1994年からみたいなので、Hi-STANDARD(ハイ・スタンダード)の少し後くらいの世代ですね。当時はハイスタを中心に、BRAHMAN(ブラフマン)、BDB、SUPER STUPID(スーパー・ステューピッド)がスタープレイヤーですね。DEVILOCK(デビロック)の遠藤さんのGMFや、cocobat(ココバット)、COKE HEAD HIPSTERS(コーク・ヘッド・ヒップスターズ)なんかはハイスタと同級生くらいで、BDBよりひと世代上のイメージですね

遠山

ハイスタ以降、BDBの世代くらいからバンドも一気に増えるよね

瀬戸

はい!ハイスタ以降のバンドをちょっと挙げてみると、HUSKING BEE(ハスキング・ビー)、SCAFULL KING(スキャフル・キング)、SHERBET(シャーベット)、Thumb(サム)、REACH(リーチ)、CAPTAIN HEDGE HOG(キャプテン・ヘッジ・ホッグ)、SHORT CIRCUIT(ショート・サーキット)、SPREAD(スプレッド)、FUNSIDE(ファンサイド)、STOMPIN’ BIRD(ストンピン・バード)、山嵐、麻波25、宇頭巻、YKZ(ヤクザキック)、YOUNG PUNCH(ヤング・パンチ)、POT SHOT(ポット・ショット)、NICOTIN(ニコチン)、GRUBBY(グラビ―)、ALL LIVING THINGS(オール・リビング・シングス)、NUMB(ナム)、UP HOLD(アップホールド)、State Craft(ステイト・クラフト)、SWITCH STYLE(スウィッチ・スタイル)…

野田

全然ちょっとじゃねーわ笑

高柳

今回が20周年てことは、このアルバム自体は99年?

瀬戸

はい。完全なフルアルバムとしてはこれが初めてですね。これの前の96年にミニアルバムが出て、その後はちょこちょこコンピで曲出してって感じでしたが、その頃からかなり人気で。

ライブはたくさん出てたんですけど、アルバムは中々出なかったんですよね。それで99年に満を持してフルアルバムがトイズから出て、流通もメジャーになって、一気にマスからも人気出たって感じです。それ以降はもうライブのチケットもまったく取れなくなっちゃいました
画像引用:BACK DROP BOMB公式HP

遠山

ファッションはEMPIRE(エンパイア)の回でやったけど、バンドとしてはいわゆるミクスチャー系だよね。99年っていったらフジロックにRAGE AGAINST THE MACHINE(レイジ・アゲンスト・ザ・マシーン)やらLIMP BIZKIT(リンプ・ビズキット)やらも来日した年だし、90年代後半は世界的にラウド/ミクスチャーロックが市民権を得て大ブームだったんだよなぁ

瀬戸

はい。BDBも96年の最初のミニアルバムからしっかりミクスチャーでした。重めのバンドサウンドにラップ。あとはレゲエやスカ、R&Bっぽい要素も入ってっていう、90年代ミクスチャーのスタイルです。

遠山さんもさっき言ってくれてたように当時所属してたメガフォースは、山嵐、smorgas(スモーガス)、MINOR LEAGUE(マイナーリーグ)、宇頭巻、GERONIMO(ジェロニモ)といったバンドが並ぶ、由緒正しいハードコア&ミクスチャーのレーベルですからね。本人たちはどう思っていたか分かりませんが、当時は和製311(スリー・イレブン)とかって言われたりもしてました。99年のアルバムは予想に反して少し音が軽くなっている印象ですね。ミックスも打ち込みっぽい感じになってましたし

野田

ファッションとしては99年にHEIGHT(ハイト)が恵比寿にオープンしてるんだけど、ちょうどエンパイアにも火がついた頃だよね

瀬戸

そうです。ボーカルのタカさんのファッション方面での人気はエンパイアの回でもやった通りです。エンパイアはそれまでもTシャツやスウェットなどの簡単なアイテムは作っていたんですが、その頃には出る度に即完売という状態で。それがハイト以降はフルラインナップでやるってなって、人気が爆発した感じですね

高柳

確かにその頃は音楽もファッションもバンド系が席巻してたもんね

瀬戸

はい、ブラフマンも98年にフルアルバム出してて、ライブもやりまくって、もうめちゃくちゃ人気出てて。その中で99年にはボーカルのトシロウさんがsuiseeda(スイシーダ)ってブランドをリボルバーと一緒に始めて、話題になっていました。

画像引用:mixi

あとはやっぱりこのムーブメントの中心はハイスタですね。ファッションブランドはやっていませんでしたが。97年、99年に2枚のアルバム、主催イベントの「AIR JAM(エア・ジャム)」も、00年では最高潮を迎えるんですが、そこで活動休止という。シーンとしてもハイスタがいなくなって、少しずつ熱が落ち着いていくイメージです

遠山

やっぱりこのムーブメント自体の核はハイスタだったんだね。ちなみに当時、バンドマンやミュージシャンがやってたブランドだと、どういうのがあったっけ?

瀬戸

僕が分かるところだと下記の感じですかね。(順不同・敬称略)
・GMF(ジー・エム・エフ)の遠藤:DEVILOCK(デビロック)
・HELL BENT(ヘル・ベント)のテル:AG(エージー)→ SIVA(シヴァ)
・COKE HEAD HIPSTER(コーク・ヘッド・ヒップスターズ)のコマツ:SUSPEND(サスペンド)
・雷矢の日下部:MACKDADDY(マックダディ)
・SHERBET(シャーベット)/THUMB(サム)の岡田:PROPER(プロパー)→ ALMIGHTY(オールマイティー)→ HEAD QUARTER(ヘッドクオーター)
・SHERBET(シャーベット)/THUMB(サム)の羽沢:→ UNSOUND(アンサウンド)
・SUPER STUPIDのLOW IQ 01:STEREO SPEAKER(ステレオ・スピーカー)
・BDBのタカ:EMPIRE(エンパイア)
・BRAHMAN(ブラフマン)のトシロウ:suiseeda(スイシーダ)
・山嵐の武史:KAHO(カホ)
・SCAFULL KING(スキャフルキング)の4106:SAME(セイム)
※抜け漏れ、間違いあったらすみません

野田

やっぱり結構あるね。この中だと、いわゆる恵比寿系が特に人気あった印象だよね

瀬戸

そうですね。一番の理由は音楽とファッションの山を同時に捉えられたからだと思います。このジャンルに関してはファッション方面に関してデビロックが下地を作って、マックダディで火がついたっていうのがベースです。なんですけど、その音楽とファッションの両方の山のタイミングが一箇所でガッツリ一致したのが、BDBのタカさんとエンパイアだったんですよね。

ハイスタは音楽一本でファッションやってないし、デビロックのGMFは解散してSUPER HYPE(スーパー・ハイプ)になってたし、マックダディはバンドとしてはちょっと先輩だし、ブラフマンと山嵐はアパレルは少ししかやらないし。

その中でBDBはバンドもシーンで絶頂、タカさんはファッションアイコンとしてフォロワーも多く、ブランドもフルラインナップで本腰入れて登場って感じだったんですよね。そうやって全てのタイミングが合致して、瞬間的にもうワケわかんないくらい人気が出たんだと思います。これはヒップホップ方面でのスワッガーも同じだったと思います

遠山

そうね。オーリーでもメロコアとかラウド系の余震を感じてた頃に、その辺りはガッツリやってたからね。そういうところがオーバーグラウンドに出てきたタイミングで、ファッションカルチャーとして切り取って売り出したのがサムライかな。けど本当はこういったムーブメントって、盛り上がる前夜が一番面白いんだけどね

瀬戸

そうなんですよね。僕もちょうど前夜のタイミングで惹かれて、それこそ当時ファイン、ワープ、オーリー、イートマガジンはかじりつくように見てました。ライブもいっぱい行ったし、休みの日はお茶の水ジャニスに行って山のようにCD借りて、徹夜でMDに録音してそのまま翌日返却とか、楽しかったですね。

逆にマスでめちゃくちゃ盛り上がっている後半はちょっとポカーンとして見てた感じです。「なんか手の届かないところにいっちゃったなぁ」って感じで

高柳

でもその絶頂期も長くは続かなかったんだよね?

瀬戸

そうですね、ハイスタ解散以降は徐々に音楽とファッションの流れは切り離されて、その後は純粋にそれぞれのジャンルとして別に残りましたね。ファッションは先に挙げた通りですが、音楽に関してはELLEGARDEN(エルレガーデン)とかマキシマム ザ ホルモンあたりがメインプレイヤーだったと思います

野田

ブランドやってたバンドの人たちは盛り上がりが落ち着いた後は、その後どういう風になっていったの?

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瀬戸

DEVILOCK(デビロック)は前に記事にしましたが、その他のバンド系ブランドの人たちの進む先も様々で、ファッションを活動のメインにしていく人もいれば、元のバンドの世界に戻っていく人達もいました。シーンが落ち着いたその後ですが、ブラフマンなんかは今もめちゃくちゃライブやってますし、BDBに関しては活動はゆるやかですが、音源をリリースしたりしてます。THUMB(サム)の岡田さんもBLUCK BUCK(ブラック・バック)というバンドで活動しています

野田

BDBも現役だし、エアジャム世代の人たちは結構バンドを続けているんだね

瀬戸

はい!BDBに関して言えばタカさんはオルフィック(ORPHIC)っていう靴のブランドを、あんまり音楽や自分の名前を前に出さずやっています。1LDK(ワン・エル・ディー・ケー)やSTUDIOUS(ステュディオス)、伊勢丹メンズにもおいてあるので王道ファッションシーンですよね。

他のメンバーもBDBの活動の傍らで他の活動もしているみたいです。ギターのジンさんは、他のアーティストへの楽曲提供やCM音楽の作成やアイドルのプロデュースなど。ドラムのマスオさんはスタジオミュージシャンとして、ORANGE RANGE(オレンジ・レンジ)や木村カエラ、清春などのレコーディングやライブのサポートをしているみたいですね。ちょっと異色なのが、タカさんのツインボーカルの相方のマサさんで、高円寺で「千吉良屋」という立ち飲み屋をやっているみたいです。ここがせんべろの良店として食楽はじめ色んなところに紹介されているんですよね!

野田

酔っ払らうことが趣味の瀬戸にはぴったりじゃない

瀬戸

はい、今度行ってみようと思います!

野田

まだ行ってないのかよ(苦笑)