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PARCO|《あんとき》より、ずっと前からサブカルチャーと共に歩み続けたパルコ

サブカルチャーと共に歩み続けたパルコ

野田

今さら感はあるけど、今回は渋谷PARCOのリニューアルをピックアップ。AKIRAやWAVEなど《あんとき》ネタが豊富で、NIGOさんの HUMAN MADE ( ヒューマンメイド ) 、JONIOさんの UNDER COVER ( アンダーカバー ) 、藤原ヒロシさんの POP BY JUN と LAST ORGY ( ラストオージー ) メンバー揃い踏みだったし、久しぶりに「楽しいー」って思える商業施設だったな。20日のプレオープンに行ったんだけど、全然時間足りなかったから翌日の21日もいったもん

瀬戸

ホントそうですね!ワクワクする感じ。ボクも1日じゃ全然足りなくて、もう1回いっちゃいました

高柳

ファッションとカルチャーというこれまでのイメージに加えデジタル的な側面や飲食も豊富になり

遠山

やっぱり渋谷にはパルコがないとダメだからね。その期待に見事応えてみせた

野田

そうですね。渋谷とパルコ、この関係性は《あんとき》よりもだいぶ前だから全然知らない人もいるので、少し振り返っていきましょうか。

時代は一気に51年前の1969年まで遡ります。場所は池袋。1950年代の池袋は、西武・東武・三越・東急・東京丸物が乱立する群雄割拠の時代だったようなのですが、60年代になると東急と丸物が撤退を余儀なくされ東急は東武に、丸物は西武に売却されることになると。でもこの売却は、ダイエーやイトーヨーカ堂が丸物を買収して池袋に進出してくるのを防ぐ防衛策という色合いが濃かったみたいで、元々不振店舗だったわけだし同じ百貨店業態には見切りをつけようとなるわけですね。そこでファッションビルとしてパルコが生まれるわけです

高柳

百貨店とファッションビルはどう違うんですか?

野田

主には品揃えと契約形態かな。百貨店は食品もインテリアも、その名の通りなんでも扱う。一方でファッションビルはファッションの専門店。また自ら商品を仕入れて売るのが当時の百貨店だとしたら、ファッションビルはテナントからの賃料収入が収益源。だから外見は似ていても、中身は小売と不動産業という形でビジネスモデルが違うんだよね

遠山

じゃあ堤さんは百貨店という業態を自ら否定して、ファッションビルの形態を誕生させたことになるわけだ

野田

ってことになりますね。調べてみるとパルコ以外の無印もそうだし、ある種、吉野家もそうだし、堤さんは時代に合わせて、過去やってきたことのカウンターとなる事業を生み出しているんですよね。

それは学生運動に参加していた青春時代が下地にあり、銀座のような東京の中心地ではない池袋で、しかもラーメンデパートと揶揄されていた西武百貨店を日本一にしていく過程において、日本にまだ入っていなかったエルメスやサンローランを出店させたり、斬新な広告手法や文化事業といったイメージ戦略など、短所を長所に変えて「老舗がやっていないこと」で成功してきた経験があるからなのかもしれませんね。その後のリブロだって、ロフトだって、カウンターポジションで始まっているし

遠山

池袋の次が渋谷になるんだよね?

野田

ですね。1973年に現在の場所に完成します。元々は1968年にオープンしていた西武百貨店の駐車場用地だったようなのですが、駅からも遠く坂の上という不利な場所でタヌキが出ると言われていたほどだったらしく

そこでパルコの立役者である増田さんは、わざわざ足を運んでもらうためには目的を持って見にきてくれる場所にする必要があると考え、劇場を上層部にオープン。しかも渋谷パルコのオープンより1ヶ月ほど前にオープンさせるという熱の入れようだったようで

高柳

西武劇場ですね。その流れで街づくりにもつながっていくと。元々は公園通りじゃなくて、区役所通りだったんですよね。

でもパルコの意味はイタリア語の公園という意味だし、代々木公園にも繋がるということで名称が変更され、赤い電話ボックスの設置やズズラン型の街灯を設置したり。他にもスペイン坂、ファイヤー通り、オルガン坂と名付けたりしたってのは聞いたことあります

野田

広告も石岡瑛子さんとか山口はるみさんのような今でこそ大御所だけど、当時は新進気鋭のクリエイターとして売り出し中だった人たちを起用してて。今見ると「これNG出すとこあるだろうな」っていう、けっこう際どいとこまで攻めた広告なんで、今よりずっと数が少ない広告の中であれを見た日にゃ「なんだ!? なんだ!?」ってなるのは想像できる

遠山

ビックリハウス ( 1974年から85年までパルコ出版から発行された読者投稿型のサブカルチャー誌 ) もあるよね。あれがパルコのサブカルチャー路線を決定付けたとこもあるんだろうね

野田

73年というと、ちょうど高度経済成長がひと段落したくらいなので、ただモノを売るというより新しいライフスタイルが求めれていたんでしょうね。そこにパルコが単に服を売るだけでなく、演劇、映画、音楽、出版といったコンテンツを発信して若者を啓蒙していった。これこそが後にセゾン文化として語られる1つのフォーマットになるわけで

瀬戸

それってコト消費という文脈で今も言われていることですよね。それを50年も前からやってたわけですね

野田

そうなのよ。ディズニーランドがオープンしたとき、増田さんはパルコのライバルとして考えていたみたいで。普通だったら他の商業施設をライバルとして見るじゃない。でも増田さんは違うんだよね。「結局、財布は同じじゃん」って考え方をしてたみたいで

瀬戸

ものすごい先見性ですね

野田

これって完全に今のアパレル不況にも通じる考え方だよね。これはボクの仮説なんだけど「お金を使うなら見えるものが優先」というのがあって、どうせお金を使うのであれば他の人に見せられるものが優先度高いと思うんだ。その最たる例が洋服だと思うんだけど。

でもさ、今はネットやSNSの普及によってなんでも見せることができる時代じゃない。そうなると旅行だろうが、美味しいご飯だろうが、なんだって洋服の競合になるんだよね。承認欲求を満たすには、着て歩ける洋服が手っ取り早いツールだったんだろけど、今はむしろ分かりづらいんだよ。SNSの中じゃどのブランドかなんてパッと見て分からない。よっぽど南の島でトロピカルジュース飲んでる方が「いいね!」してもらえるじゃん

瀬戸

確かに。渋谷という街のイメージを変え、様々なサブカルチャーを発信して若者たちに絶大な影響を与えた存在、だから渋谷のパルコは特別なんですね

野田

うん、その影響って新しいパルコにもちゃんと息づいていたじゃない。しかもさポギーさん、メディコム、デイトナ、ナンズカのコラボレーション・ショップである「2G」ってお店が2Fにあるじゃない。あれって実は増田さんの名前である「つうじ」にもかかってるんだよね、その功績を理解しているテナントの人たちが、リスペクトを込めて生まれ変わったパルコのお店でその名前をつける。なんか感動する話じゃない

《あんとき》のガールズカルチャーも先取り

野田

その後は80年代のDCブームを経て、90年代の《あんとき》に繋がっていくと

瀬戸

BEAUTY:BEAST ( ビューティービースト ) とかありましたよね?

野田

ボクもそのイメージなんだよね、学生時代、ボクは裏原キッズだったのでパルコにいくときは友だちの付き合いが多くて。名物の重い扉を開けるとギャルソンがあってビューティービーストとかの買い物に付き合ってた記憶がある

高柳

広告で初期の Sofia Coppola ( ソフィア・コッポラ ) 使ってましたよね?

遠山

GO!PARCOのやつだよね

野田

調べてみたら96年だって。 The Virgin Suicides ( ヴァージン・スーサイズ ) の3年前だね。この映画に長女のテレーズ役で出てた Leslie Hayman ( レスリー・ヘイマン ) がこの広告でもモデルになってて

高柳

この界隈がまたスゴいですよね (笑)

遠山

X-girl ( エックスガール ) でしょ?

高柳

ですね。X-LARGE ( エクストラ・ラージ ) のレディースブランドとして、Sonic Youth ( ソニックユース ) の Kim Gordon ( キム・ゴードン ) が94年にエックスガールを立ち上げて、最初のショーのプロデュースをしたのがソフィアと Spike Jonze ( スパイク・ジョーンズ ) 。しかもモデルがキッズに出演してた Chloë Sevigny、 ( クロエ・セヴィニー )

野田

ちなみにレスリー・ヘイマンの姉であるステファニーは、ソフィアと共に MILKFED. ( ミルクフェド ) を立ち上げた人。

もっと言うとヴァージン・スーサイズのサウンドトラックのアートワーク ( エックスガールのロゴも ) は Mike Mills ( マイク・ミルズ ) で、映画の中に出てくる絵はMark Gonzales ( マーク・ゴンザレス ) 、タイトルデザインば Geoff McFetridge ( ジェフ・マクフェトリッジ ) と……、デザイナー、ミュージジャン、アーティスト、スケーターなど、色んな才能が集まっていた西海岸カルチャーが90年代のガールズシーンを席巻していくことになると

高柳

裏原宿のようなシーンが西海岸にもあり、それがビーズ (インターナショナル) によって日本に輸入され後のブームに繋がると

野田

やっぱりパルコは早いよね。KAWS ( カウズ ) の展覧会も2001年にパルコが日本で一番最初にやってましたもんね。サイン会もやってたんだよなぁ、今思うと相当贅沢でしょ

高柳

映画もパルコにはお世話になってますよね。シネクイントのこけら落としとなった「バッファロー66」は大ヒットしたし、トゥルーロマンスやトレインスポッティングとかも有名だし

野田

そうなんだよ!けっこう映画観る方なんだけど、本当にお世話になっている。最近じゃスケート・キッチンや2PACの自伝映画オール・アイズ・オン・ミーとかパージだよね。

他には EXIT THROUGH THE GIFTSHOP ( イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ ) や Banksy Does New York ( バンクシー・ダズ・ニューヨーク ) といったバンクシー関連もそうだし、Straight Outta Compton ( ストレイト・アウタ・コンプトン ) もNASもスニーカーヘッズなんかもそうだし。大手の映画館ではやれないような規模なんだけど、ストリートの住人たちには絶対にハズせない映画を配給してくれる

瀬戸

パルコと言えばクアトロもそうですよね

野田

そうだね。渋谷系の面々はもちろん、ビースティ観たのもここだなぁ。下が WAVE ( ウェーブ ) だったよね。今回のリニューアルでWAVEが復活したのでロゴTを買ったんだけど、買い物の後にあのロゴのショッパーを持って街を歩くというのは、やっぱり特別な体験だったな

遠山

俺は川越だからアクセス的に池袋って場所っていうのがすごい身近なのね。池袋は埼玉の首都って言われてるくらいだから買い物とか映画を観に行ったりとかは池袋だったんだけど、池袋パルコの中にオンステージヤマノっていうレコード屋があったのよね。けっこう小さかったんだけど、品揃えが半端ないマニアックだったのよ。

普通、百貨店とかデパートにあるレコード屋だし、ヤマノって名前の通り山野楽器系列のレコード屋だから、そんなに期待できないじゃん。でもここは名盤ばかりで、昔のレコードもいっぱい置いてあったのよ。だから通な人はそこに行くって感じでオンステージヤマノのショッパーを持ってる人は結構やるやつって感じだったし、未だに語り継がれてるのよね

野田

後に堤さんは、尖った店で単独出店では採算が合わない店でも、集まって商圏を広くすることで経営が成り立つようになる。商店街では個性的なお店は閉店せざるをえないけど、パルコなら昔の商店街の役割を補完できると言ってますもんね

瀬戸

ボクは《あんとき》によく池袋のピーダッシュに行ってました

高柳

僕もよく行ってました。オープンのときにも足を運んでいて、当時ピーダッシュのメインキャラクターをしていたスチャダラパーさんと小沢健二さんがオープニングゲストで登場したんですよ。それで、いざオープンとなると彼らがピーダッシュの中に入っていって、お客さんみんなが追いかけるという演出がありましたね。あれは興奮しました

瀬戸

P ダッシュで B ダッシュですね!

野田

お、おん。。。。

マリオね。まぁ、新しい渋谷パルコにも入ったもんね、任天堂

瀬戸

ピーダッシュには STUSSY ( ステューシー ) が入ってたので。上にタワーレコードも入っていたので

遠山

でもその流れでストリート系のショップが池袋に増えるかっていうと、そうでもなかったよね

野田

なかなか物騒な街で、リアルストリートすぎましたからね (笑)

遠山

ウエストゲートパークも出てきたしね (笑)

裏原ブランドも今や渋谷に大集合!

瀬戸

改めて今までの話を踏まえると、今回のリニューアルではパルコのファッションやカルチャー、エンターテイメントといった従来の強みに加え、デジタルやフードなどが強化されて東京らしい混沌感が楽しめましたよね!

遠山

根本を見直すというか。チャレンジしてる感じはすごい伝わるよね

野田

マーケティングしないで作ったって記事がありましたよね。人気なものは似ているものになるので。その代わり求められるものは徹底的にヒアリングしたらしい。地下のカオスキッチンのごちゃついた感じとか「マジか!」って思ったよ。

これってさミミックのコンセプトにも通づるんだけど、すでに知ってるとか、整理された中での買い物は体験として作業になるんだよね。なんでボクたちが地方まで20年前の洋服を発掘にいくのか?っていうと「探す楽しみ」や「発見した楽しみ」が買い物の中で1番の楽しみだよ!って伝えたい部分もあるからなんだけど。でも今はデジタルの力で情報と距離を縮めて効率化の流ればかりにみんな目を向けているので、買う前の楽しみを演出しているところは本当に少ない

高柳

まだ点と点の取り組みではあるのかもしれないけど、パルコは上のフロアでしっかりとテクノロジーを使った最先端の取り組みをしてますからね

野田

うんうん。紙のフロアガイドもなかったけど、確かにいらないよね。ぜひ ワズアップ! を使ってLINE上でフロアガイドをしてほしい (笑)

高柳

その一方で、不効率だからこそ味わえる楽しさ、みたいな絶妙なアナログ感を残してある

野田

そうなんだよね。5Fの真ん中とかもポップアップショップのような形ですぐにテナントが入れ替えられるような作りになってたんだよね。わざわざお店に来てもらうには「意図した不効率」が必要だと思っていて、その上ではゆらぎが必要だと思ってるんだけど、まさにそんな感じでセンスあるなぁって思った

オムニチャネルだけでは不十分!わざわざ行きたくなるお店のキーワードは「意図した不効率」

瀬戸

アニメやゲーム、映画や音楽など、パルコならではのサブカルチャーも面白かったけど、なによりファッションへの気合いを感じましたよね

野田

そうそう。裏原宿も今や原宿より渋谷の方が揃うようになったよね。WTAPS ( ダブルタップス ) のGIPや NEIGHBORHOOD ( ネイバーフッド ) 、Supreme ( シュプリーム ) が神南にあり、パルコの中にヒューマンメイドとアンダーカバーが入った。NIGOさんがいないので、もうエイプは《あんとき》とは別物だけど目の前にあるしね

高柳

スニーカークリーニングとか、リンカンもありましたよね。ブランドショップの隣に買取ショップがある。斬新ですよね

野田

お客様目線でいくと絶対その方が便利だもんね。ブランドからすると嫌がることが予想されるけど、そこは買取だけの業態にすることでうまく折り合いつけたんだろうね。担当者やるなって少しニヤっとしたもん (笑)

遠山

リクチュールもあったよね?

瀬戸

ありましたね。リストックって名前でしたけど、あのカスタムはリクチュールですよね。国分寺から青山に移転したので、いよいよ都心へ本格進出ですかね

遠山

新しいパルコでなんか買った?

野田

当然、買いましたよ。WAVEのTシャツとAKIRAのTシャツ買いました。まだグランドオープンもしていないのに7万くらい使ってました。恐ろしい館ですよ (笑)

瀬戸

ミミックでもパルコでなんかやらせてもらえるといいっすね!

野田

やりたい!買い付けてきた《あんときのストリート》のアイテムを並べたいよ

遠山

売り物ないじゃん (笑)

野田

大丈夫っす、良いアイデアがあるんで!パルコといったらインキュベーション!もし担当者の方がこの記事を読んでいたら話だけでも聞いてやってください。お待ちしてまーす (笑)

※ 記憶が頼りでして事実と違うことがあったら、すいません!