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《 あんとき 》前夜のクラブ黎明期、クラブキッズたちがこよなく愛した TAR ( トウキョウ・エアランナーズ )

野田
来ましたね。TAR。87年スタートなのでグッドイナフの90年より前。まさにドメスのストリートブランドの元祖ですね。姉貴の影響で中学校のころに着てたのですが、メインは少し上の先輩たちのブランドって感じで

高柳

TARって元々テクノ系のブランドだったじゃないですか。しかもなにが面白って店舗持たないで車で配達していたんですよね。

一人一人注文してくれた人に届けにいくというスタイルで。電話でオーダーを受けて車で配達するというプッシャースタイル (笑)。なんかこの辺もテクノの流れといっていいのか、ドラッグカルチャーに忠実というか (笑)

遠山

本国ってどこなの?

野田

日本っす。新潟す。最初、東京でやってたんですけど、関さん ( = TARデザイナー ) のお母さんの実家である新潟の空気に触れ、自然に囲まれた生活をしたいということで引っ越したらしいです。

なによりスゴいのは口コミだけで今なお頑張っているところですよね。このMA-1なんて、ちょっと《あんとき》の匂いがして、けっこう欲しいですもん


画像引用:TARLAB

でも最初は配達式ってのは知らなかった。なんで年下のヤナギが知ってるんだよ (笑)

高柳

買ってたのは 33 ( サーティスリー ) ですか?

野田

そそ。吉祥寺の33。当時クラブキッズって言われてたような人たち御用達のお店で。確か3階にあってお店の中もなんか変な色で、幼心に「あぁ、これがテクノ」って感じてた (笑)。

最初は貸レコード屋だったみたいだけど、ボクが行った頃にはもう洋服メインだった

高柳

33は結構キーパーソン的なお店ですよね。ロンドンのギオゴイとか、アナーキックアジャストメントとかも取り扱っていたと思う。

TAR自体は電気グルーヴとかフロッグマンレコードとか、テクノ系アーティストや音楽レーベルとコラボレーションをするなど、日本を飛び越えて世界のテクノミュージックシーンに愛されてましたよね

野田

そうそう。姉貴もヒップホップを卒業してテクノにハマってたので、そこからボクもTARに行き着いた。

TARってピラミッドブラスターのロゴからも分かる通り、KLF (=イギリスのビル・ドラモンドとジミー・コーティの2人からなるハウスユニットで、Kopyright Liberation Front ( 直訳すると著作権解放戦線 ) の略。その名の通りサンプラーを駆使して無許可で他人の楽曲をサンプリングしてトラックを制作。アンビエント・テクノという1つのジャンルを確立していくのだが、有名どころもおかまいなしにサンプリングするのでメジャーレーベルから総攻撃にあい92年に活動を終える ) の影響が大きいよね。羊のモチーフも多分だけどKLFなんじゃないのかね ( = KLFはブリットアワードのステージで「音楽業界と決別する」といってシーンを去るのだが、そのアフターパーティで会場に死んだ羊を捨てていった )

洋服でもこういうサンプリングの手法って《あんときのストリート》では当たり前になるんだけど、TARはその先駆けだったと思うんだよね。だから洋服とか音楽とか作り手側に愛用者が多いんだと思う。ウィズの下野さんもことあるごとに紹介してたし、サスクワッチにいたっては2009年秋冬のテーマがTARでコラボもしてたしね

『サスクワァッチファブリックス』のリミテッドショップを徹底解剖!(後編)

瀬戸

へぇー、どういう流れでですか?

野田

サスクワッチやってる2人が新潟出身みたい。で、当時から買ってたみたいで

※ 正しくは新潟と三重のご出身でした!

高柳

もう30年ですもんね。そういうことになりますよね。ボクがパッと思いつくのは10周年のスタジャンとピラミッドブラスターかなぁ。ずっと知る人ぞ知るみたいな感じで、一度もメジャーになった感じがないのがいいんですよね

野田

エアランナーズには「口コミで飛び交う情報」って意味があるらしいので、まさに地でいってるよね。でも名前はよく変わる。名前というか読み方か

高柳

そうそうそう。タイムアンドなんとか、とか。でも頭文字のTARは変わらない

野田

でもやっぱりトウキョウ・エアランナーズなんだよなぁ

遠山

TARってトウキョウ・エアランナーズのこと!?

野田

ですです

遠山

そうなのね!トウキョウ・エアランナーズなら知ってるよ、超クラブスタイルじゃん

野田

ですです

遠山

やっぱそれを考えるとクラブキッズとかクラブファッションの出だしっていうかさ、ハーフジェネレーションに当たるのがまさにココでしょ。ラストオージーとかもそうだけど、当時は音楽もファッションも「ロンドンでは…」ってのが特権になるぐらい完全にロンドンを向いてたじゃない?

そこから徐々にアメリカな感じになっていくと思うんだけど、元々アメリカってダサいというか田舎っぽさがあるじゃん?良くも悪くもローカリズムみたいな。でもロンドンって病的というか、取り憑かれたように音楽に特化してる感じがするんだよなぁ

野田

宝島とか初期キューティとかに出てたロンドンレポートは食い入るように読んでましたね

遠山

「次はこれだ」みたいな最先端情報ね。そういうところから、いわゆるクラブキッズっていうくくりができていったもんね。91年の宝島のクラブ特集でもしっかりトウキョウ・エアランナーズが載ってる

高柳

おぉー!この並びはアツいですね。しかもモデルがムラジュン!「東京のクラブでのクチコミで、カリスマ的人気を誇るブランド」ってありますね。そう、そう、ホントそんな感じ

野田

くっそぉー!あと5年早く生まれていれば、もっとこの時代のクラブに入り浸れたんだろうに。人生において悔いがあるとしたら、この80年代から90年代前半の《あんときのストリート》前夜をランドセルなんか背負ってボーっとしてたことですよ!

高柳

ボクも群馬から東京まで新幹線通学してる場合じゃなかったです (笑)

野田
このTシャツ見つけてさ、すげー懐かしくなってTARに行きたくなったのね。だからお盆に行こうと思ったんだけど、なんせラボ ( = 新潟にあるTARのヘッドショップ ) が営業しているか分からないじゃん。だから営業しているかメールして問い合わせしたら、なんと関さん直々に返信があって!

高柳

おぉ!それでそれで?

野田
関さんの愛犬が高齢ということで年明け頃から調子が悪いらしく。今は愛犬に愛を注ぐ時期だから、余生が続く限り全日休業をしてるんだって

高柳
ラブに生きてる人ですね

野田

最高だよね。

オムニチャネルと言われ続けボクも色々支援してきてるけど、それがあるから確実に売上が上がるってわけじゃない。当然やらなきゃいけない取り組みの1つではあるけど、あくまで手段であるということを忘れちゃならない。「便利」だからって理由で服は欲しくならないからね。大事なのは楽しさだと思うんだ。そして買い物の楽しさって2つあって買ったものを使う楽しさにはよく目がいくんだけど、一方で買う楽しさにはあまり目がいってないんじゃないかなって思うんだよね。作業になっているような

瀬戸
よく言ってますもんね、野田さん

野田

うん。タイムラインで出てきて、誰かが紹介して、店頭でたまたま、とか、そういう欲しいものが見つかったときの楽しさ。そしてその商品の背景を調べる楽しさ。そして売っているか売っていないか分からない中で実際に手に入れた瞬間の楽しさ。

そういうのって不効率かもしれないけど、それがあるからこそ楽しさって増すんだよね。通販サイトで便利にサクッっと買ったものでは、正直この過程を経ていないので買い物の楽しさって大分削がれてしまう。しかも背景まで深掘りするという行為自体を省略しがちなので、カルチャーウエアもただの洋服として捕らえられてしまう。そうなると価格が安い方に流れてしまうのは当然で。。。

だからボクはお店には「意図した不効率」がないと、わざわざ行きたくなるお店にならないんじゃないかって思ってるんだよね。

オムニチャネルだけでは不十分!わざわざ行きたくなるお店のキーワードは「意図した不効率」

ラボなんてまさにそうじゃない。新潟の小千谷市という辺境の地 ( 失礼しました!) にあって、 いつ開いているかも分からない。でもだからこそ行きたくなる。

あのしまむらだってそうでしょ? 仕入れ商品中心に展開してた2〜3年前は宝探し感あって調子よかったのに、ここんとこはPBを強化して打ち出したら苦戦してる。だってそれならユニクロでいいじゃんって話で

高柳
昔の裏原ブランドもそうでしたもんね。何が出ているか分からない。それでもドキドキしながら並んで、やっとお店に入って、何も売ってない (笑)、みたいな

野田

そそ。ゴローズにいたっては通販もしてないし棚にあっても素人には売ってもくれない、みたいな (笑)。買うだけでとてつもないハードルだけど、いつかはイーグル目指して、雨の日も風の日も、灼熱の日でも極寒の日でも、みんな何時間もかけてゴローズ詣を続けている。

規模は出づらいけどデジタル化が進んだからこそ、一周回って《あんとき》の在り方が見直されるべきなんじゃないかなって思うんだよね。その時にこのミミックが参考書代わりにというか、当時を思い出す、もしくは知ってくれる、きっかけになれば嬉しいなって

※ 記憶が頼りでして事実と違うことがあったら、すいません!